美味しい時間

返事がすぐに来ると思い、しばらくは待っていた。が、一向に返ってこない。
仕事で手が放せないのかもしれない……。
しょうがなく、先に次の仕事を始めると、主任に呼ばれた。

「課長から頼まれた仕事、終わったら全部私に提出してくれればいいから」

「分かりました」と返事をして自分の席に戻ると、ヘタリと椅子に座り込む。
そっかぁ。返事、主任にしたんだ。そうだよね。あんなメールすれば、誰だっ
て気分悪くするよね。

“俺のことを信じろ” って言われたのに……。

自分でしてしまったことなのに、鼻の奥がツーンっとしてきて、泣きそうに
なってきてしまった。
俯き目を瞑ってそれを押し込めると、何度か小さく深呼吸して気持ちを落ち
着かせる。

でもこれで、少なくとも来週いっぱいまでは、課長と倉橋さんのことを考え
ないで済む。
無理やりそう思うことにして、一心不乱に仕事をした。





< 173 / 314 >

この作品をシェア

pagetop