………わお。
陛下は人の話を聞かないみたいだ。

まあ、そりゃこんな自称魔導師にいきなりそんじょそこらに居そうな女の子が女神とか言われても困るだろうし…てか、信じるわけないよ。事実私はそんな大それた人じゃないし。


うんうん、と一人で納得してると、オルはいつの間にか陛下の目の前まで歩いていたので
私は慌てて後をついてった。


「陛下。あっちの女神が偽物だ。」

「…煩い。俺は信じない。それにこの国に女神なんて必要ない。」

「…父上殿の事気にしてるのか。」


バチバチ、と視線がとびちってる中、私はなにも出来ずに居た。

事実、私が喋ったら
あの陛下って人はすっごく
目つきの悪くて冷たい視線を
向けるだろうし。
このままが得策、だよね。

とかそんな事考えていたら、
オルはいきなり私の腕を引っ張り陛下の前に立たせた。


「うおっ…………!!」

いきなり陛下の目の前に立たされた私は
よろけながらもなんとか踏ん張り、
陛下と見つめあう形となった。

…絡み合う視線。
陛下は冷ややかな目で私を見下ろす。
私は、困りながら視線を
ゆっくり外していった。

< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop