“運命の赤い糸”
「はい」


俺は父親の呼びかけに、返事をした。

父親は、俺をまっすぐ見ながら言った。


「私は、あの子も責めるつもりはない。そう伝えてくれないか?」

「え?」


てっきり、サクラが憎くて仕方がないと思っていた俺は、びっくりして父親を見た。


「あの子には、何か影があるような気がするんだ。だから、ナオに対する嫌がらせも、何か理由があってだと思うんだ」


サクラに‥影?

俺は振り返ってトモヤを見た。

トモヤは切なげな顔をしながら俺を見つめていた。

まるで、サクラの影に気付いていたかのような顔で。


「だから‥あの子を責めるつもりはない」


ナオの父親は、優しく笑いながら言った。

俺は、戸惑いながらもコクリと頷いた。




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