悪魔の熱情リブレット

「シルシルがママになってくれるの…?」

彼は諦めた。

もうシルシルでも何でもいい。

自分の主が部屋の隅で大爆笑しているのを横目に彼は問い掛けた。

「私がママでは嫌ですか?」

この質問に少女は何を思ったのか、しばらく考えてから言った。

「寝る前にお話してくれる?ママはいっぱい聞かせてくれたの」

「はい。して差し上げます」

「遊んでくれる?」

「お相手しましょう」

「笑ってくれる?」

仏頂面なシルヴェスターには最大の試練だろうか。

彼はひきつった笑みをつくり了承した。

「じゃあ…」

まだ何かあるのかと、シルヴェスターがややげんなりとしてきた頃だった。

「死なない?」

この質問には彼もアンドラスも驚いた。

「いなくなったり、しない…?」

再び、泣きそうな表情で答えを求める。

シルヴェスターはティアナの頭に手を置いて、軽く叩いた。

「心配は無用です。今度のママは強いですから」

「シルシルは強いの?」

「はい」

遠くでアンドラスが「僕よりは弱い」とか何とか言っているが無視。

「他に条件はありますか?」

首を横に振る少女に、シルヴェスターはほっとした。

「では今から自分がママの代わりです。よろしくお願いします」


< 20 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop