神様がくれた夏
先輩との距離に、ゴクリと唾を飲み込んでは呟くように言う。
「な、んでもないです…」
こんなことを思ってはいけないのかもしれない。
あたしと先輩は彼氏と彼女という関係なのだ。
けれど思ってしまう。
どうしても思ってしまうのだ。
早く教室に戻ってくれないか、と。
早く帰って欲しい。
早くあたしの前から去って欲しい。
どうしようもなく願うのだ。
祈るのだ。
「そうか? 元気ないんじゃ?」
「そんなこと、ないですよ?」
お願い、頑張って。
あたしを保って。