神様がくれた夏




ポンポンと自分の膝を叩いている彼。


あたしは戸惑いながらも言われたとおり、彼の膝の上にちょこんと座った。




そうすれば後ろからぎゅっと優しく抱きしめられる。




この温度が好き。



あたしはそっと先輩の手を握る。




この温度がどうしようもなく好きなんだ。


安心できる、この彼の体温にあたしは溺れていく。




先輩はあたしの初彼氏。


だから〝普通〟付き合うというものがどういうものか知らない。




たくさんデート出来なくたっていい。


たまにしかキスしてもらえなくたっていい。




こうしてたまにぎゅって抱きしめてくれるだけで、あたしは十分だった。




だからだろう。


会いたいと言っても会えないことが多いことに、なんの疑問も抱かなかったのだ。



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