神様がくれた夏
2人きりは慣れているはずなのに、彼の部屋に来るといつも以上に緊張してしまう。
あたしの心臓は今にも飛び出しそうなほどバクバクと騒がしい。
リビングへと向かう、彼の後ろを歩くあたし。
彼の家は相変わらず汚くて暗い。
カーテンくらい開ければいいのにと思うけれど、嫌がるのを知っているからそれをしない。
カップラーメンや何かのゴミが部屋中に散らばっているが、これが男の子の部屋なんだろうと、他の男の子の家に入ったことがないあたしは思った。
もう昼過ぎだというのに薄暗い部屋のせいか、毎回不気味な何かを感じてしまうのはなでなのだろう。
ドッカリと。
彼は行き着いた深いソファーに腰を落とすと、あたしを見つめて呟く。
「来て」