神様がくれた夏




どうしてなのだろうと、疑問を持ったところでどうしようもない。


だってそう思ってしまうのは事実であり現実であって、どう頑張ってもただの思い込みとしては片付けられないのだから。



「…ふぅ」



零れ落ちたため息は水のように重い。


重くて重くてちょっぴり苦しい。



やっと水面から顔を上げることができた気がする。



息が吸える。


まだ少し息がしづらい気もするけれど。



考えてしまうのは先輩に対しての想いなんかじゃない。


夏目涼に見られてしまったということだ。



まだ他の人ならば良かったものの、どうしてよりにもよってあの人なんだろうと考えてしまう。



< 70 / 468 >

この作品をシェア

pagetop