神様がくれた夏
どうしてなのだろうと、疑問を持ったところでどうしようもない。
だってそう思ってしまうのは事実であり現実であって、どう頑張ってもただの思い込みとしては片付けられないのだから。
「…ふぅ」
零れ落ちたため息は水のように重い。
重くて重くてちょっぴり苦しい。
やっと水面から顔を上げることができた気がする。
息が吸える。
まだ少し息がしづらい気もするけれど。
考えてしまうのは先輩に対しての想いなんかじゃない。
夏目涼に見られてしまったということだ。
まだ他の人ならば良かったものの、どうしてよりにもよってあの人なんだろうと考えてしまう。