窓際のブラウニー




夫と出会って、もう何年経つのだろう。




今になって知ったこと。



夫は必死になるとよく喋る。



私は口を挟む隙もない程、よく喋る。




なんだか面白い。




「お袋と、お前との関係も・・・これから俺が何とかするから。お願いだから、チャンスをくれ。」




私の涙を「別れの涙」だと解釈した夫は、喋り続ける。




「もうお前の料理は食えないのか・・・」



「もう家に帰っても、お前はいないのか。」



「もし、別れたら俺は一生一人でいる。お前がいてくれたからこそ、俺は自由に、好き勝手なことができた。」




「本音は、お前に気付いて欲しかったんだよな。浮気すんなってぶん殴られたかった。」





こんなによく喋る夫は初めてだった。




必死さが伝わり、私の心はもう決まっていた。





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