スロウ・メロウ


「じゃあ今日は、P.127の問32から解いていくぞ」


黒板に白いチョークで何かを書かれる度にぐわんぐわんと揺らぐ視界。


解く気なんてさらさらないけど今日はあたしの出席番号の日付。当てられるに違いない。


「じゃあ(1)を瀬名。次を立花…」


瀬名、あたしか。やっぱり。


おぼつかない足取りで黒板に向かう。ダメだ、ふらつくどころじゃない。


一旦先生に事情を話そう――と方向転換したところで視界が真っ白になる。


「――…あっ」


< 17 / 56 >

この作品をシェア

pagetop