スロウ・メロウ
「じゃあ今日は、P.127の問32から解いていくぞ」
黒板に白いチョークで何かを書かれる度にぐわんぐわんと揺らぐ視界。
解く気なんてさらさらないけど今日はあたしの出席番号の日付。当てられるに違いない。
「じゃあ(1)を瀬名。次を立花…」
瀬名、あたしか。やっぱり。
おぼつかない足取りで黒板に向かう。ダメだ、ふらつくどころじゃない。
一旦先生に事情を話そう――と方向転換したところで視界が真っ白になる。
「――…あっ」