スロウ・メロウ


ポツ ポツ……

地面に染みができ始め、旋毛にひんやりとした感覚。雨か……


「そろそろ上がるぞ。梶間」

「あー、山代」


なんだ?と振り返る山代。俺は真っ直ぐ目を見て言った。


「お前、あおいのこと好きなのかよ」


聞きたかったことだ。もし山代がその気なら…いや、その気ならどうしたっつー話なんだが。


「………」


しかし答えてはくれないみたいだ。黙っている山代に明るく笑いかけた。


「いや別にいいんだけどよ。物好きだなっつーかさ」

「物好き?」


なにがだとばかりに見つめてくる。


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