スロウ・メロウ


「この前はありがとう、って渡せば大丈夫じゃねえの」

「う…梶に言われたらそんな気がしなくもないけど」


唸りながら難しい顔をしている。相談に来てくれたことは正直…嬉しかった。


でも俺の存在はきっと『友達』からは抜け出せない。俺と山代とは何が違う…全然違ったな。


悶悶としているあおいに即断即決タイプの俺はイライラしてきた。あおいからのなんて喜んで受けとるぜ山代なら。


――…あおいが笑うんなら、
それでいいか。


本音言えばこのままどこかに行きたい。屋上なんかじゃなくてもっと広いところまで、いっそのこと。


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