スロウ・メロウ


「あおい」

なにー?とこちらを向く姿にドキリとした。待て自分、もう……。


「お礼なんてモンはな、気持ち重視だから。あと山代は迷惑がるようなヤツじゃないってわかんだろ」


そう言ってやれば少しだけ明るい顔になった。そうだよ、その顔。


あおいは笑ってんのが一番いい。


するとギュッと制服を掴んだあおいはなにかを決めたように俺を見た。ばっちり視線が合わさる。


「……行って…くる」


これで正しいんだよ。これで合ってるんだよ……あぁ。


「あぁ、山代ならお前からのなんて何でも受けとるぜ」


例え漬物とか干物だとしても。そう付け足せばぷっと吹いた。


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