恋率方程式




そうしてイチは静かに泣いた。
今までの涙が溢れてきたのだ。
押さえてた感情は止まることを知らず、イチの顔を濡らし、アルトにまで伝った。その間ずっとアルトはイチの頭を撫でていた。

「今は泣けばいい。感情なんて抑えるものじゃない。」

そのうち笑っていろんな表情を取り戻せるさ、とアルトは言った。

そしてこの時二人の胸には新たな感情が生まれた。
愛しい、という気持ち。

でも二人はその気持ちに気付かない。
二人の立場は人殺しと御曹子。それは変わらない。

最後にふ、と笑いイチがアルトから離れた。
アルトは笑顔をむけてくる。

「…やらなきゃ、いけないことが、ある。」
「あぁ。行ってこい。」

そしてイチの頭をもう一度撫で言った。

「必ず、帰ってこい。」
「…うん。」

そしてイチは元来た窓を開けると、家の外へでていった。


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