。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「行くかボケ」
思わずそう怒鳴り返すと、
「ヒュ~♪気の強ぇえ女だな」とまたも囃し立てる声が。
ああ、今すぐにもでスピードを上げて前の車に思い切り車をぶつけたい!
あたし、見たまんま短気なのよ!
その衝動と戦いながらハンドルを握っていると、
隣で寝転んでいた玄蛇がゆっくりと身を起こした。
「イチ。スピードを上げろ。前の車ギリギリに迫るぐらいにな」
さっきまでのへらへら軽い口調ではなく、低く唸るような重低音。
あたしは言われた通りギアを入れ替えると、助手席をちらりと見た。
まるで蛇が鎌首をもたげるようなその動作に、あたしの頬がぴくりと引きつる。
あたしは喧嘩なんてしたことないし、殺気なんて分からないけど、でも
玄蛇を取り巻く空気が一瞬で変わったように思えた。
静電気のようなピリピリとした怒気が空気を漂ってあたしの頬を突き刺す。
玄蛇はあたしの方に身を乗り出すと、運転席側の窓を勝手に開けた。
何をするかと思いきや、
「黙れ、クズども。
前の車に忠告だ。そのイカした車の※カマ掘られたくなきゃ、さっさと失せな」
(※後ろからの衝突事故のことです)
玄蛇がまるで空気をも震わせるような怒りを込めた声で怒鳴り、
その尋常じゃない雰囲気に男たちが只者じゃないと悟ったのだろう。
一瞬で表情を変えて慌てて逃げていった。
たった一喝で―――……小物とは言え、相手を怯ませた。
「………びっくり…した。あんたがああゆう風に喋ってるところはじめてみたかも」
ちょっと目をまばたいて驚いていると、
「こう見えても一応ヤクザですから♪」
またも玄蛇はいつもの調子でへらへら笑い、
益々
食えないヤツ―――そう思った。