。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


な、何でタイガが!?


見間違えかと思ったが、イヤって程見てきたし早々間違えるわけない。


あたしは思わず新垣 エリナをその場に取り残して駆け出した。


「え!待って龍崎さん」


と新垣 エリナが追ってくる。


あたしは渡り廊下のあるところまで走りついたが、そこにはタイガの姿がなかった。


やっぱり…見間違い……?






―――



その後、あたしと新垣 エリナは最寄の駅で別れて、あたしは大人しく家に帰った。



あたし…何しに行ったんだ??


首を捻りながら玄関の戸を開けると、キョウスケが待ちわびていたように出迎えてくれた。


心配するな、と言ってたけどあたしの帰りを待ちわびていたようで、


キョウスケはあたしの顔を見るとちょっと安心したように頬を緩めた。


「ただいま、戒の様子は?」


「今は薬が効いてるようでぐっすり寝てます。俺がこっそりドクターにお願いして軽い入眠剤も処方してもらったんです。


寝れば治りも早いんで」


「そっか。お前にも色々迷惑掛けたな」


「いいえ、寝ていてくれた方が俺も楽です。この様子だったら二、三日で回復します。


それよりちょっと」


キョウスケ声を低めると、はあたしの腕を引っ張って廊下の奥を目配せする。


だが…


じとー…


廊下の壁からタクが顔だけを出してこちらを窺っていて、


あたしと目が合うと、


「お、おかりなせぇ!オツトメごくろうさまでやす!」と挨拶しながら慌てて引っ込む。


タクのヤツ…またかよ。


「ここじゃなんだからあたしの部屋に行こうぜ?」


今度はあたしがキョウスケの腕を引っ張ると、キョウスケはちょっと悩んだ素振りを見せたけど


大人しくあたしのあとについてきた。




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