君へ、約束の歌を。<実話元>
…あんなにリアルな夢はみたことない、って言えるほど。
夢だなんて認めたくないほど。
でももう現実世界では祐ちゃんに会えないってことは、まだ完全に覚醒してない頭でも、十分わかってる。
『――うぅ〜…っ…』
…涙だけは本物で。
止まってなんていなかった。
やり場のない悲しみで拳を高く振り上げても、振り下ろす場所は布団の下の自分の体…
泣いたって、何も変わらないのにね。
無理だってわかってるのに、心のどこかで祐ちゃんに会えることを望んでる自分に、なんだか腹がたって歯を食いしばった。
怖い夢をみて目が覚める…
小さい頃はそうだった。
でも今は――…
胸が痛くて目が覚める。
切ない痛みに目が覚める。
この気持ちを、人は、
“思慕”って呼ぶのかな…?
夢で会える可能性なんて、
ほんの僅か。
…でも、
その奇跡ともいえるものにかけたくて、
私は何度も寝返りをうってる。