君へ、約束の歌を。<実話元>


この時の私は、まさか悪夢をみる日がくるなんて思わずに…







  “大切なもの”が

  見えなくなった時、


  人は想いの深さに戸惑って、



  “大切なもの”が

  見え始めた時、


  人は自分と向き合うんだ、


  きっと。










…5月以来祐ちゃんの夢をみることはないまま、夏になって。


元気に照りつける太陽の熱を浴びることなく、私は冷房の効いた涼しい部屋の中。


…胸の奥は、熱を持ってる。


今から自分がやろうとしてることに、
緊張、不安、期待…


いろんな熱が、混ざり合って。



…私は今、ケータイとにらめっこ状態。


手には、新しいケータイ。


場所は、私の部屋。



買い替えたばかりのケータイの画面には、



【ケータイを変えたので、登録お願いします。
TEL:〜
アドレス:〜】



そして、宛先には――…





…亜美の名前。



亜美とは全く言葉を交わさずに卒業して、メールや電話も全然してない。


どこの高校に通ってるかも、噂で耳にしただけでよく知らない。



< 210 / 287 >

この作品をシェア

pagetop