君へ、約束の歌を。<実話元>
この時の私は、まさか悪夢をみる日がくるなんて思わずに…
“大切なもの”が
見えなくなった時、
人は想いの深さに戸惑って、
“大切なもの”が
見え始めた時、
人は自分と向き合うんだ、
きっと。
…5月以来祐ちゃんの夢をみることはないまま、夏になって。
元気に照りつける太陽の熱を浴びることなく、私は冷房の効いた涼しい部屋の中。
…胸の奥は、熱を持ってる。
今から自分がやろうとしてることに、
緊張、不安、期待…
いろんな熱が、混ざり合って。
…私は今、ケータイとにらめっこ状態。
手には、新しいケータイ。
場所は、私の部屋。
買い替えたばかりのケータイの画面には、
【ケータイを変えたので、登録お願いします。
TEL:〜
アドレス:〜】
そして、宛先には――…
…亜美の名前。
亜美とは全く言葉を交わさずに卒業して、メールや電話も全然してない。
どこの高校に通ってるかも、噂で耳にしただけでよく知らない。