君へ、約束の歌を。<実話元>
あまりにも懐かしくて。
嬉しくて。
言葉が詰まって、
それ以上何も言えなくて。
涙が零れるのもそのままに、駆け寄って、思いっ切り抱き着いた。
「どうしたの?」
祐ちゃんは笑いながらそう私に聞くけど。
どうしたの、どころの話じゃない。
中3の5月まで見てた笑顔が、
確かにそこにはあって。
離れたら祐ちゃんはどこかに消えてしまう気がして、ぎゅっと腕に力を込めた。
…話したいことはたくさんあって、
聞きたいこともたくさんあった。
でも言葉にならない。
涙が染みて、
祐ちゃんに気持ちが届けばいいのに…
『あの、ね…』
祐ちゃんと向き合って話したいと、
腕の力を緩めた瞬間。
一陣の強い風が吹いて――…
――…夢。
目覚めた私は、
自分の部屋のベットの中にいた。
どうして…?
あんなに鮮明だったのに…
すごくリアルな夢だった。