君へ、約束の歌を。<実話元>


「女の子っぽいものってよくわからんかったから、お母さんに選ぶの手伝ってもらったんだ。
気に入らんかったらごめん」



じっと手の中のシャープペンを見つめる。


ディズニーキャラクターの、
眠れる森の美女の柄。


てっぺんに丸い膨らみが付いていて、
覗き込むと王子様とお姫様のキスシーン。


…本当に女の子っぽいもの。


みんなの前で渡すのは恥ずかしいって、
少し照れてるのが祐ちゃんらしい。



なんだか、胸がいっぱいになって。



『…ありがとう』



うまく、言葉が出てこなかった。


祐ちゃんが、本当にこういう女の子っぽいものが苦手なの知ってるから。


男になりたかったなぁ〜なんて言っているのを聞いたこともあったから。


そんな祐ちゃんが一生懸命私のために選んでくれたことが、すっごく嬉しかった。



< 56 / 287 >

この作品をシェア

pagetop