君へ、約束の歌を。<実話元>
「女の子っぽいものってよくわからんかったから、お母さんに選ぶの手伝ってもらったんだ。
気に入らんかったらごめん」
じっと手の中のシャープペンを見つめる。
ディズニーキャラクターの、
眠れる森の美女の柄。
てっぺんに丸い膨らみが付いていて、
覗き込むと王子様とお姫様のキスシーン。
…本当に女の子っぽいもの。
みんなの前で渡すのは恥ずかしいって、
少し照れてるのが祐ちゃんらしい。
なんだか、胸がいっぱいになって。
『…ありがとう』
うまく、言葉が出てこなかった。
祐ちゃんが、本当にこういう女の子っぽいものが苦手なの知ってるから。
男になりたかったなぁ〜なんて言っているのを聞いたこともあったから。
そんな祐ちゃんが一生懸命私のために選んでくれたことが、すっごく嬉しかった。