君へ、約束の歌を。<実話元>
『うん、いいよ〜』
私は、それほど急いで練習場所に行かなきゃいけないわけじゃなかったから、祐ちゃんの誘いに答えた。
「みんなの前で渡すの恥ずかしいから…」
『…??』
祐ちゃんはゴソゴソと、自分の鞄の中から小さな袋を取り出して、私の前に差し出した。
「愛璃ちゃん、誕生日おめでとう!
はい、これ」
…突然で、びっくりした。
じわじわ嬉しい気持ちが込み上げてきて。
『わぁ〜ありがとう!開けてみていい?』
「いいけど、恥ずかしいからみんなには見せんでね!」
『??わかった…』
何をプレゼントしてくれたのかな、と期待に胸を膨らませて袋を開ける。
ラッピングとかがされていないその袋がなんだかとっても祐ちゃんらしく感じた。
――コロッ…
広げた手の上に転がったのは、
一本の、シャープペン。
私は祐ちゃんが恥ずかしがっていた理由が、すぐにわかった。