君へ、約束の歌を。<実話元>


ヒドイ言い方だけど、
泣かなくてもよくない?

結果はよかったんだし、って。


でも、違うんだよね。


祐ちゃんは一生懸命だからなんだ。


…私と違って。



祐ちゃんは、本当にいつもいつも真剣に自分の種目に取り組んでる。


普通のメニューの時には、一緒にちょっとサボったりすることもあるけど。


種目別メニューの時には、誰よりも遅くまで練習してることもあった。


1位ばっかりだったから、
1位とるのが当たり前…

みたいになっていたけど、そうじゃないよね。


そんな当たり前の形なんて、どこにもなかったんだ。

それは、自分で築き上げてきた結果の証。




私は体を起こして、下に見える高跳びのフィールドを、じっと見つめた。

今は、男子の走り高跳びが行われている。



…私は今まで、
部活の日々を事務的に送ってきた。


授業終わったら部活に行って、
土日とかには大会に出て…って流れを。


生活の一部に部活が入ってて、楽しいって思う気持ちもあるけど、ただ「こなして」いってただけ。


高く跳びたいし勝ちたいけど、県大会に行きたいとか全国目指すとか、具体的な目標は特に考えていなかった。



< 80 / 287 >

この作品をシェア

pagetop