君へ、約束の歌を。<実話元>
だから、もちろん結果が悔しくて泣いたことなんてない。
でも…
…祐ちゃんみたいに真剣に取り組んだら、部活がもっと意味のあるものになるかもしれない。
もっともっと、楽しくなるかもしれない。
目標を持って取り組んだら、日常の世界は変わって見えるのかも。
今より、色鮮やかに見えるかもしれない。
『…気持ち次第、なんだよね。きっと』
ぽろりと口から零れ出た言葉に自分でも驚くけど。
周りに人がいないのがせめてもの救い。
「…愛璃ちゃーん!応援しに行こう!」
戻って来て階段の下で呼んでる祐ちゃんの隣に行くために、
『…うん!』
返事をして、勢いよく立ち上がった。
涙を人に見せないなんて、
祐ちゃんはやっぱり強いね。
泣き虫な私は、
絶対できないよ……
祐ちゃんの涙を見たのは、
これが、
最初で最後だった。