桜花舞うとき、きみを想う
それからの日々、ぼくは毎日、生きた心地がしない朝を迎えていた。
日課となった掲示板確認には、いつまでも慣れない。
「そもそも出撃前には必ず実家へ一度は帰らせてもらえるものだ。きみはまだ大丈夫だよ」
そう言ってぼくを励まし続けてくれた山里くんも、とうとう先日、還らぬ人となった。
そんなある日のことだった。
その日、ぼくは配膳当番だったため夕方に食堂へと向かう廊下を歩いていた。
すると、どこからか大きな話し声が聞こえた。
口調から察するに、誰かが怒っているようだった。
(喧嘩かな……)
ピリピリした空気が蔓延する基地内では、兵士同士の喧嘩は珍しくない。
止めに入ることは、相手によっては危険が伴うので、力自慢でないぼくはためらったが、とりあえず様子だけでも見てみようと声がするほうへ進んだ。
耳を済ませて声を辿ると、そこは意外なことに、主に上官たちが利用する会議室だった。