桜花舞うとき、きみを想う


日常を生活するだけで精一杯の今、報道の言う通りの戦果が挙がっているのか甚だ疑問だ。

『戦果を華々しく報じる新聞やラヂオはアテにならない!』

と友人たちは口を揃えた。

ぼくも同感で、つまり戦況についてぼくたちが知り得る事実はあまりに少なかった。

今回のような贅沢な旅行は、この戦争が終わるまではもう出来ないだろう。

いや、終わったとしても、当分はおあずけになるだろう。

ぼくらだけでなく、日本の国民の誰もが。



そのことを、きみも女将も、たぶん知っていた。

でも誰も口にしなかった。

なぜかと問えば、きっと女将はまた伏し目がちに、

「こんなご時勢ですから」

と繰り返しただろう。



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