桜花舞うとき、きみを想う


石岡アヤ子さん、つまりきみのことを、ぼくは赤ん坊の頃から知っていた。

今から16年前、きみのお母さんが産気づいたとき、町の産婦が他の出産で留守にしていた。

そこで近所中が一丸となって手助けして、生まれたのがきみだった。

まだ3つだったぼくは、母たちが必死の形相であれやこれやと動きまわる様子が怖くてたまらなかった。

おぎゃあと産声が響いて、

『かわいい女の子よ』

と母に手を引かれて生まれたての赤ん坊を見ても、ぼくは、

(こんなの、猿じゃないか)

ちっともかわいいとは思えなかった。



それからぼくは、頻繁にきみの遊び相手をさせられた。

それというのも、ぼくの母ときみのお母さんとは従姉妹同士で、家族同然の仲だったからだ。

あんなに猿だと思っていたのに、顔を見るたびに愛らしく成長するきみを、ぼくは本当の妹のようにかわいがった。



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