アゲハ~約束~
「アゲハ!」



 夏梅が、何度もアゲハの名を呼ぶ。

 ―――これは、いつかの光景に似ている。


 ああそうだ。


 ルフナが死んだと判り、アゲハが、生きる人形と化してしまった、あの日だ。



「・・・いかせて・・・」

「駄目だ。」

「いかせて、お願い!!」



 アゲハは幸人の腕から逃れようと、暴れる。

 幸人は、彼女を離さないように懸命に抑えていた。


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