アゲハ~約束~
「あいたいの!ルーに!!」

「ルーはもういないんだよ!」

「だからあいに行くんじゃない!!」

「アゲハ!」



 幸人は、背中から抱きしめていたアゲハの身体を反転させて、向かい合うと彼女の両の二の腕を強く突かんで、しっかりと目を見て、言った。



「天国なんて、どこにもない!」



「っ・・・」



 アゲハは目をほんの少し見開く。

 幸人は、そんなアゲハに、懇願するような必死さでうったえた。






「天国なんてどこにもないんだ、アゲハ!死んだら無になるだけだ。死んだ人はもう、どこにもいないんだよ!」






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