アゲハ~約束~
「・・・寂しくなんて、全然ない。」



 だから、恋なんて。

 そういおうと顔を上げた瞬間。 

 出入り口に、ルフナの姿が見えて、アゲハは言葉を飲み込んだ。



「・・・寂しくない?」



 寂しそうに、彼はアゲハの言葉を繰り返す。

 気まずくなってアゲハが視線をそらすと、ルフナは部屋に踏み入ってアゲハの正面に立った。

 夏梅が気を利かせてでてゆこうと出入り口に向かうと、そこには幸人がいて、二人は、部屋の中の二人を見守っていた。



「・・・アゲハは、俺がいなくなっても、寂しくない?」

「・・・うん。」



「・・・オレは、寂しいよ。」





 アゲハがいないと、寂しいよ。





「――――・・・」 



 アゲハの顔を覗き込んで、ルフナは言う。



「でもオレ、ここにずっとい続けることも出来ない。」

「判ってるわよ・・・だから、寂しくなんて・・・」


「だからね。」



 ルフナが、アゲハの言葉をさえぎり口を開いた。

 そっとアゲハの両頬に触れて、顔を上げさせる。



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