アゲハ~約束~

2.

 出逢いは突然であり、かつ、その当時のアゲハにとっては至極胡散臭いものだった。

 ルフナはそれほどまでに怪しく、アゲハは、ひねくれていた。




 アゲハは施設で育った。

 幼いころ、両親に預けられたのだ。

 必ず迎えに来るからね。

 そういって去っていった彼らは、アゲハが中学に上がってもいっこうに会いに来る気配すらなく、それどころか便りの一つもよこさなかった。

 そんな影響もあってか、アゲハは人に期待することをしなくなった。

 そうして、笑うことも少なく、ひねくれた人間に育っていった。



 世界にあるのは、自分と他人。

 他人は他人であり、自分に干渉させたくない。

 自分の存在はといえば、いるのかいないのか、なんだか希薄で。

 ともかくこの身体という容器だけを引きずって生きる、中学生にしては冷めて干上がった少女だった。





 そんな少女が、青年と出会う。

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