アゲハ~約束~
第四話:幸せ、と、絶望

1.

 幸せっていうのは、静かなものなんだと。


 アゲハは、背中から伝わる体温を通して感じていた。


 背中合わせに座って、話もしないでただ二人、思い思いのことをしている。

 アゲハは本を読み、ルフナは写真の仕分けをしている。

 ぽつぽつと降る雨の音が響き、そこに不思議な暖かさをかもし出していた。



「・・・ねぇ、ルー。それ、なにやってるの?」



 きりのいいところまで本を読み終えたアゲハは、くるりと身体を半回転させて、ルフナの隣に座る。



「それ、ルーが戻ってくる数日前に、いつも送られてくる小包よね?」

「うん。」



 包みを広げた彼の前には、たくさんの写真があって、そこにうつっている人たちは皆、文字の書かれたスケッチブックを持っていた。



「これね。・・・飛行機に乗るときの、オレの癖にしたの。」

「癖?」

「同じ便に乗る人探しては、写真撮るの。一緒に。それで、こうやってスケッチブックに住所を書いてもらって、後で一人ひとりに送るんだ。」

「・・・」




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