恋花よ、咲け。
______パシッ。
勢い良く走り出した私を
たった腕一本で食い止める。
「……ぇ…。 佐々木…?」
佐々木は俯いているから
表情を見ることはできない。
「……俺ら 3Fの非常階段にいた。
きっと まだそこで雨に濡れてるよ。」
「……ぇっ?」
佐々木が顔をあげて にっと笑う。
「好きなんだろ、あいつのコト。」
思いもよらない衝撃の一言に
ぶわっと顔が赤くなるのを感じる。
「…なっ、何をそんなぁ!」
思わず身動ぎをしてしまう。
「イイから、早く行けよ!
あいつが風邪引く前にさ!」
ぽんっと佐々木に 背中を押された。
「……う、うん!」
知りたい事は山ほどあって
聞きよりたい所だったが
グッと押さえて 階段を駆け上がった。
その時の佐々木の瞳が
悲しみを含んだものだったのに
気付くこともなく……