《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
都心を離れ、郊外へと車を走らせる。



雨は強くなる一方。



外の景色に目を向けるけど、黒い山の連なりが見えるだけで何も見えない。


車は轟音を立て、水しぶきを上げる。


そんな音が静かな車内に響く。



「何か喋れよ」


「え、あ…」


知弥の声が轟音と共に私の耳に届く。


「音楽とかかけたら?コレと言って…何も喋る話題ないし」


「音楽?そんなモノ…車には置いていない」


「え~っ?」



「しかし、激しい雨だ…これは止むのを待つか…」


「どこで待つの?」


「ラブホで」



「え~っ!!?」

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