便利屋
怪訝そうに尋ねてくる奈央の母親を尻目に、俺はテーブルのすぐそこまで歩み寄る。
窓側に座っている奈央は、目を見開いたままで固まっている。
…びっくりしてんのかよ。
まあ、そりゃそうか。
現れるはずのないヤツがこうして目の前にいるんだから。
「ねえ、聞いてる?あなたは一体誰なの?警備呼ぶわよ。」
何も答えなかった俺に痺れを切らした奈央の母親は、俺に冷たい視線を投げかける。
『申し遅れてしまって申し訳ありません。』
気配を感じ横を目だけで見れば、警備員がいる。
コイツ、呼ぶわよってもう呼んでるじゃねーか。
『僕は、…蓮です。』