先生とシンデレラ
控え室でドレスに着替えて、直前まで踊りの練習をしていると。

コンコン

ドアがノックされて。

「先生だけど。」

「はい。」

そう返事を返すと、先生はドアを開けて後ろでに閉めた。

先生は腕を組みながら私を上から下まで眺める。

それからキュッと眉を寄せて。

周りをキョロキョロと見た。

そして横にあった私の膝掛けを手に取ると、ポイ、と私の方に投げた。

「…えっ」

私が驚きながら両手で受け取ったのを確認した先生は。

「本番直前まで足に巻いとけば。見てるこっちが寒いんだけど。」

は?

そう思いながらも。

「…わかりました。」

クルクルと足に巻くのを見た先生は満足気に、うん、と言った。

「…先生が、選んだくせに。」

私がぼそりとそう言うと、先生は
「…丈が短いから最後まで悩んでたんだよ。それでも羅々に似合うと思ったからね。」

先生はそう言うと、直ぐにまたドアを開いて、行こうか、優希ももういるよ、と言った。
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