先生とシンデレラ
「可愛い…」

目の前に飾ってあるペアのマグカップを見つめながら思わずそう声を漏らしてしまう。

それまで興味なさげに店内を見ていた先生もその言葉に反応して私の目線の先のマグカップを見る。

「…なに、欲しいの。」

「…嫌です!」

文脈のない会話に先生が眉を寄せる。

「…は。」

私は手にもっている大量の紙袋を見つめて。

「このたくさんの服だって、私、自分のお金があるって言ったのに…」

「別に、先生がプレゼントしたかったんだから良いでしょ。働くだけで使わないからお金たまってくだけなんだよ。」



「…でも、「で、欲しいの、どうなの。」

「…良いです。ありがとうございます。」

「だから「遠慮とかじゃなくて…」

私の言葉に先生は口を閉じる。

「…こう言うのは、本当に大好きな人と持つものでしょう?一人でもってても虚しいだけですから。」

先生はそう言うと無言で私を見つめて。

その空気に耐えられなくなった私は。

「先生。次の店、行きましょう?」

先生はそのマグカップに後ろ髪を引かれる様な感じがしながらも。

「…はいはい。」
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