先生とシンデレラ
「…っおい、華っ!!」

そう呼ばれて。「華ちゃん…」

私がそう言いながら振り返ると、華ちゃんは教室の入り口に立ったまま笑顔で私に向かって
「おはよう、羅々。」

「…おはよう。」

…怖いよ。

華ちゃん、目が笑ってないよ…

それから、華ちゃんは早足で私たちの元まで歩いてきて
「…っおい?!」

「うるさいわね、良いから来なさいよ。」

「ちょ、おい、華?!」

人気がない所まで来ていた私は、もう良いだろう、と優希の腕を掴んでいた手を離す。

「…お前、何なんだよ。」

それから、優希の方へ振り返って。

「優希ってさ、馬鹿なの?」

「っは?!」

心外だ、とでも言うようにワックスがついた髪を触る手の動きを止める。

でもさっきの行動は馬鹿としか言いようがない。

それとも。

「あぁ、アホなの?」

「っちげーよ!何で朝からそんな事言われなきゃなんねんだよ?!」

その言葉に、私はいつもの目線より上にある優希の顔をきっと睨む。

「こっちのセリフよ!なんて事しようとしてくれてたわけ?!」

私のその言葉に、優希は面食らったように目を見開いた。

「…っは?」

「あんた何言おうとしてたのよ!私があの時止めなかったら!」

「…あ?」

そう言うと、優希は少し考えたようなそぶりを見せて。

しばらく黙ってその様子を見つめていると。

優希ははっとしたような顔をして、
「…ああ、“お前らわかりやす過ぎんだよ!好い加減さっさとくっつけよ、このバカップル!”的な?」






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