先生とシンデレラ
私はその言葉を聞いて。

…止めて良かった。

本当に良かった。

そう心で安心しながら。

「“的な？”じゃないわよ！…っ馬鹿じゃないの？！そんなの周りの私達が言ったら意味ないじゃない！」

私がそう言うと、優希はやっと私が教室から連れ出した意味が分かったようで
「あ…」

「そんなのね、私達が言わなくても二人で何とかなるわよ！ってか、羅々が気づかなくても先生が待ちきれなくなってどうにかするわよ！」

「…」

優希は罰が悪そうに頭をかく。

「優希が今言ってたら、先生にどんな仕打ち受ける事になったか、分かってんの？！」

私のその言葉に、先生から受けた数々の嫌がらせを思い出したのだろう。

優希は顔をしかめながら、私に向き直って
「ありがとうございました。」
と言って頭を下げた。

その言葉に私は満足して、ワックスが存分に付いている優希の頭をぽんぽんと叩いて、
「…うむ。わかれば良いのじゃ。」

そう言うと優希は頭を上げて
「お前、若紫じゃなくて殿様になってるぞ。」

「うるさいわね、変な所切れ味あるツッコミしないで良いから！」

「…っす。」

そう言いながら、教室に戻ろうと歩き出そうとして。

…あ、これだけは言わなきゃ。

私は無言で後ろを付いてこようとしていた優希の方をバッと振り返って。

「…っな、「あとね、あんたがさっき言ってたら私が今まで苦労して黙ってきた努力が無駄になるのよ！」

「…お前、本心はそっちだろ。」

「何よ、だったら何なのよ。私が優希の未来を救った事に代わりはないじゃない。」

そう言いながら、歩き出すと。

後ろで優希がボソッと
「苦労してるんですね…」
と言った。
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