先生とシンデレラ
私が静かに椅子に腰を下ろす。

すると先生はようやく満足した様で、私の事をあの先生お得意の意地悪な顔でじっと見た。

きっと私が話し出すのを待ってる。

だけど。

この状態で話したら。

きっと、先生が近すぎるせいで言葉が途切れ途切れでまともに話が出来ない。

それに。

先生の綺麗な薄茶を含んだ目に私が写ってる。

…先生は今、私の事を見てる。

他の誰でもなく、私を。

先生の眼の中が見える位近くて。

息もまともに出来なくて。

…駄目。

近すぎる…

私はその空気に堪えきれなくなってパッと顔を逸らした。


はぁー。

久し振りにこんなに空気を吸った気がする。

私が静かに呼吸をしていると。

先生は静かに低い声で、
「…何眼そらしてんの。」
と言った。

私が恐る恐る先生の顔を横目で見ると。

先生の顔が不機嫌以外の何物でもない表情をしていた。
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