蒼穹の誘惑
「皆さんのご意見はよくわかりました」

「みずき、お前はよくやった。ニューヨークに戻り、少し休んだ方がいい」

「…………」

「兄の会社の、お前の父親の会社のためだ」

口を開けば、悔しさに涙がこみ上げてきそうになり、みずきはぐっと歯を食いしばった。

見事な手腕だ。

自らの手を一切汚さず、退任に追い込まれた姪を労わる素振りさえ見せる。

これで、叔母にも面子が立つというものだろう。

これが高宮の策略だったのだろうか-----

最早、そんなこともどうでもよくなった。

すっかり勝機を失ったみずきは、無言で一礼し、その場を退席した。



< 234 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop