蒼穹の誘惑
みずきは、最後になるかもしれない社長室からの夜景をじっと見つめた。

大きな窓ガラスには、夜景の光とともに、ゲームに敗北した情けない女の顔が映る。

みずきがぼんやりと窓を眺めていると、ガチャとドアが開いた音がした。

振り返らなくてもドアの傍に立つのが誰なのか分かっていた。

「これであなたの思う通りになったのね?満足?」

「ええ、とても……」

その声色に刺々しさが感じられないと思うのは、彼女がそう願っているからだろうか。

「見事な手腕だったわ。私の完全な負けね」

最後くらい惨めな女で終わりたくなかった。

「ねぇ、最後に教えて。最初からこれが目的で秘書になったの?」

みずきは振り返って高宮を真っ直ぐに見つめた。

「そうですね」

「どうして?あなたの目的だけが分からないわ。叔父側についている理由さえも……」

会社の利益の為と言ったが、どうしてもそれだけが理由のように思えなかった。



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