蒼穹の誘惑
マンションのエントランスに差し掛かった時、急にかばんの中のスマホが鳴った。
慌ててエントランス下に入り、通話ボタンをスライドさせる。
髪から落ちる滴に画面が良く見えなかったが、登録されていない番号だった。
「はい----」
みずきは、登録されていない番号は出ない主義だが、ここ最近まで、業務の引き継ぎなど人事を通して色々な番号から連絡が入る為、仕方なく出ていた。
来週には日本を経つ身だ。まだ何があるのだろうか、と思案していると、とても懐かしい声で名前を呼ばれた。
「みずきさん?」
耳孔を擽るようなその低く響く声に、全身が震えた。
胸がきゅうと締め付けられる感覚に、呼吸が一気に乱れる。
何も言葉を発することができず、ただ震える手でスマホを握りしめていると、腰に響くような優しい声で、また名前を呼ばれた。
慌ててエントランス下に入り、通話ボタンをスライドさせる。
髪から落ちる滴に画面が良く見えなかったが、登録されていない番号だった。
「はい----」
みずきは、登録されていない番号は出ない主義だが、ここ最近まで、業務の引き継ぎなど人事を通して色々な番号から連絡が入る為、仕方なく出ていた。
来週には日本を経つ身だ。まだ何があるのだろうか、と思案していると、とても懐かしい声で名前を呼ばれた。
「みずきさん?」
耳孔を擽るようなその低く響く声に、全身が震えた。
胸がきゅうと締め付けられる感覚に、呼吸が一気に乱れる。
何も言葉を発することができず、ただ震える手でスマホを握りしめていると、腰に響くような優しい声で、また名前を呼ばれた。