蒼穹の誘惑
冷静にならなければいけない。

今何が起こっているのか情報収集が先だ。

エレベーターが地下の駐車場に到着すると、車に乗り込み、素早くインターネット画面で、先ほど電話の相手が告げた住所を検索する。

ペンションか別荘に違いないが、グーグルの航空写真からはよく見えない。

高宮は、ヘッドセットを耳にかけると、もう一度スマホを手に取り、友人の一人に電話をかける。

飛行機のチケット予約をするときは、JALのカスタマーサービスセンターに勤務するこの友人に必ず頼んでいた。

今回は、別の要件で無理な頼みごとをしなければいけない。

「あぁ、高宮だ。いや、フライトの予約じゃない。すまないが、無理を承知で頼みがある。JAL○便の搭乗者名簿を調べて、長谷川みずきという女性が搭乗しているか調べて欲しい。データベースにアクセスできたよな?あぁ……だから無理を承知で頼んでいるんだっ!個人情報なんか構ってられるかっ!」

高宮が苛立ちに声を荒げる。電話越しの友人が驚きに絶句すると、高宮は自分を諌めるように、ゆっくり呼吸をつく。

「悪い……その人の命に係わる問題なんだ。頼む」

友人が渋々了解すると、高宮は一旦通話を切った。



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