蒼穹の誘惑
苛立ちに高宮は、タバコを手に取るが、これが最後の一本だと気付き苦笑する。

ここ最近吸う量が増えた。


(何を焦っている?)


高宮はタバコを箱に戻し、勝手知ったる様子で冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと、ゆっくり口に含み喉に流し込む。

慎重に行動しなければならない。

何か別の力が動いていると直感で感じた。

そして自分の直感は当たる。

相手は、非常にわかりやすいトラップを仕掛けてきている。

その筋のプロの犯行のように見えて、ミスを犯しすぎだ。

だが、それも計算の内だとしたら―――

敵は、確実に欲しい物を手に入れられると確信しているのだろう。

それとも高宮を侮っているのか。

どちらにしても、高宮の怒りを買ったことには変わらない。

まだ見えぬ敵をどう料理してやろうか思案していると、この部屋の主が書斎から出てきた。



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