蒼穹の誘惑
愛しい妻とのプライベートな時間を唐突な電話で潰された彼はかなり不機嫌な様子だ。

「で、結果は?」

「おい、いきなりだな」

「片桐さん、あなたと世間話をしている時間はない」

今まで見たことのない高宮の苛立った様子に、片桐と呼ばれた男は、からかうように喉を鳴らす。

「それにしても、お前を敵に回すとは相手も相当怖いもの知らずだな」

「で、結果は?」

どうやら、今日の高宮は冗談が通じないらしい。片桐はわざとらしく溜息をつくと、調査結果を淡々と報告した。

「お前に頼まれたメールの送信元だが、お前の想像した通り、海外のいくつかのサーバーを通してパソコンから送られてきている。ただ、その経路が、浅野がよく使う手に似ている」

「浅野が―――?」

「あぁ、浅野は学生時代からハッキングすれすれの遊びをして楽しんでいた。あいつの手にかかれば、簡単なことだな」

高宮は顎に手を置き、じっと考える。

余りにも情報が揃いすぎている。



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