蒼穹の誘惑
(3)


「おい、起きろ」

いつの間にかまた眠りに落ちていたのだろう、みずきは肩を揺さぶられて起こされた。

「……っ……」

無理やり身体を引っ張られ、痛みに顔を歪めると、先程の男とはまた別の男が、みずきを見定めるように見下ろしていた。

立つと190センチは優位にあるその大男は、みずきの腕を掴んでニヤニヤ笑っている。

下衆いた笑いに、さっきとは異なった吐き気がこみ上げてくる。

「近くで見ると、ホントいい女だな、アンタ」

「それはありがとう。よく言われるわ」

「気の強いところもまた魅力的だ。鳴かせたくなる……」

身の毛がよだつような嫌悪感に、みずきは拘束された身体を捩りながら後ずさる。

「いいなぁ、その強気な顔」

「汚い顔を近づけないで。息がくさいわ」

「な、何っ!?このっ女(アマ)……」

カッとなった男は、みずきに向かってその大きな手を振り上げる。

殴られると目をぎゅっと瞑った瞬間、ドアがバンと開かれた。



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