蒼穹の誘惑
「おい、蒼冴早く!」

「いや、もう帰るぞ。お前の相手をして俺は疲れた」

「はぁ?何でだよっ!まだ一時間しかしていないっ」

サッカーボールを拾い、無理矢理達也の腕を引く高宮にどこか違和感を感じた。

「ねぇ、嫌がってるじゃない?」

「おばさん、いいこと言うね!なぁ、俺もっとサッカーしたいんだよ!」

「おばさんですって……一度ならず、二度までも!いいわ、私が相手になってあげるわっ!!」

「社長……?」

ニットセーターの袖を捲くり上げ、ベンチから立ち上がるみずきを高宮は咎めるように見る。

子供相手に何をムキになっているのだ、と思っているのだろう。

「私、運動神経いいのよ?こてんぱんにしてやるわ」

「ぷっ……おばさんサッカーできんの?」

「見てなさい、後で後悔するから。あんた名前なんて言うの?」

「達也だ!こいよ、お・ば・さ・ん!」

プツン、とみずきの中で何かがキレた音がした。

もう許さないと、みずきは達也からボールを奪い、大きく蹴り上げた。



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