蜜色チェーン―キミと一緒に―
嫌いなのに色んな女の人と遊んだりしているのは、拓海くんの強がりなんじゃないかって、いつからかそう思うようになった。
お母さんが自分にした仕打ちなんて、なんでもない。って
わざと色んな女の人と関係を持って、お母さんに傷つけられた自分なんてもういないって、自分自身に言い聞かせてるんじゃないかって。
そんな強がりが、何になるのか分からない。
相手の女の人が傷つくだけなのかもしれない。
でも、そうする事で拓海くんが少しでも楽になれるなら……。
そんな風に思って、拓海くんを止めない私も同罪なのかもしれない。
踏みにじられたお母さんへの優しさは、今、拓海くんの中で嫌悪に姿を変えてる。
そしてそれは多分、お母さんだけにじゃなく、女全部に向けられてるのかもしれない。
『俺、女は好きじゃないけど、由香だけは別だから』
そう微笑んだ拓海くんを思い出すと……苦しくなる。
どうすればいいのかが分からないから。