蜜色チェーン―キミと一緒に―


お父さんが本当に拓海くんを思って、償いの気持ちで、せめてって気持ちでしていることなのか。
それとも、拓海くんの言うように体裁を気にしてってだけなのか。

それは、拓海くんのお父さんにしか分からない事だから、安易に“そんな事ないよ”とは言えなかった。


「でも、いくら甘い事言ってても、どうせ自分が不利になったら、害がある人間を切るんだろうし。
俺が少しでもそういう行動を見せれば、すぐ動くんじゃないかな」
「害がある人間って……拓海くんはそんな人じゃないよ!
拓海くんは何も悪い事なんか……」
「してるよ。由香には言ってなかったけどね。
どこまで好き勝手したら俺を切るのかと思って、色々試してるから」
「……色々って?」
「だらだら適当に仕事したり、成績残さなかったり、契約先怒らせたり。
でも、そうしててもなかなか社長が動かないから、今は社長が可愛がってる宮坂に嫌がらせしてるところ。
大事な息子に手を出されたら、社長も本心表すだろ」



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