蜜色チェーン―キミと一緒に―


『諦めもつく』

そう言うって事は……拓海くんはお父さんをまだ諦めていないって事?
もしかしたら、社長の事信じてもいいって、そう思ってるの?


「でも、嫌がらせなんて言っても、ガキのいじめみたいな事やっても仕方ないし。
唯一、宮坂が堪えそうな弱みを見つけたから、好きな女に手を出してやろうと思ったんだけど……。
直前で邪魔された」
「手を出すって……本気でそうするつもりだったの?」
「途中までは、遊んでるだけだった。
ちょっとこじらせてやろうって程度の気持ちで、宮坂の好きな女に声をかけたんだ。
押しに弱かったから楽勝かと思ったけど……なかなか俺の誘いに乗ってこなくて」


拓海くんは、じっと一点を見つめて目を伏せていた。


「無理やりは趣味じゃないし、とりあえず同じ部屋で時間を過ごせればいいって思ってた。
それを宮坂が知れば、例え何もなくても、女が何もなかったって言っても、疑いは消えないで残るだろうから」



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